ハンガリーの哲学者マイケル・ポランニーの有名な言葉に「暗黙知」(あんもくち)があります。暗黙知とは、言葉では説明できないような知識を意味しています。たとえば、自転車の乗り方は、言葉ではとても説明できません。お父さんやお母さん、お兄ちゃんやお姉ちゃん、そして友達をお手本として、こけたり、すりむいたりしながら、練習してやっと自転車に乗れるようになります。このような「暗黙知」に目をむけていきますと、料理だってそう、畑仕事から営業のお仕事、車の運転にいたるまで、私たちの周りは言葉では表現できない知識に溢れていることがわかります。
また、最近の研究で、この「暗黙知」と「直感」に深い関係があることがわかってきました。「直感」というのは、「理由はよくわからないけれども、こっちの方が正しいような気がする」というような感覚の事です。経験がないとただの当てずっぽうになりますが、経験を積んだ人の直感は、たとえ根拠がないように見えても正しいことが多いのです。
お念仏も実践が大切です。実践によってしか、つちかわれていかない尊い智慧があるのです。お念仏の経験を積んだ人は、ささいな決断によって、知らず知らず人生が良い方へ導かれます。また本当に困ったときに、重大な決断にせまられたとき、正しい決断をすることができるようになります。
お念仏をお称えしても何もかわらないんじゃありません。気づかず阿弥陀様が助けてくださるから、「おかげさま」というのです。
コメントを残す