『カールソン神経科学テキスト 脳と行動』の第4版が丸善から出版されました。
今回の改訂においても、新しい研究成果等が追加されていていました。
たとえば、11章に、「顔面筋へのボトックス治療が気分に及ぼす影響」(p400)について書かれているのですが、
負の情動と関連するしかめ面という表情の大部分は皺眉筋1の収縮により生じる.彼等は,皺眉筋に Botox 2を注入した人々は他の種類の美容的処置を受けた人々に比べ負の気分を示すことが有意に少ないことを見いだした.この結果は,本小節の最初に述べた結果と同じように,表情からのフィードバックはその人自身の気分に影響を及ぼすことを示唆している.
とあります。
これだけでも非常に興味深いのですが、この後がすごい。p401に、乳児が成人の表情を模倣する写真が記載されているのですが、それぞれ「幸福そうな顔」「悲しみの顔」「驚きの顔」です。それを説明した本文に、
あなたは,これらの写真を少しも表情を変えずに見ることができるだろうか
と書かれていたのです。
驚くことに、読者であるこの私も、「幸福そうな顔」「悲しみの顔」「驚きの顔」の表情に対して、それぞれ別の顔面筋が反応しているのが実感できたのでした。
仏教に「和顔愛語」とあり、光明標語にも、
いつもニコニコ明るい笑顔
いつもイソイソ働く手足
いつもハキハキやさしい言葉
とありますが、
和やかな顔、明るい笑顔は自らの情動を良いほうに導くだけではなく、それを見ている他者をも良いほうに利するはたらきがあるということなのではないでしょうか。
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