死後の世界

延々と積み重ねてきた科学的知見から総合的に判断すると、人間はただのロボットで、心はただの幻想、死は単なるロボットのスイッチオフだと考えるしかない。もはや抜け道はない。そう思える。

「本」(講談社 読書人の雑誌2 第38巻第2号(通巻439号)」所収
「死ぬのが怖い」人に贈る七つの対処法 by 前野隆司

前野隆司先生といえば「受動意識仮説」で有名な先生です。上記の引用はかなりのインパクトがあり、そのような考えをもつことも理解はできます。
僅かな紙面上での事ですので、前野隆司先生もすべて説明できるわけではないのはもちろんですが、本原稿を読んだ際、私は以下のような問題意識をもちました。

  1. 現在の科学的知見ではという限定のもので、心1は、幻想であるとしか言えないだけなのではないか?
  2. 「幻想」とは科学的にどのようなものと定義されるのか。すなわち「幻想」も科学的要素に還元されなければ、そもそも科学的には「幻想」であるとも言えないのではないか。

以上の点を踏まえ、前野先生の他の著作等を読んでいきたいと思います。

また、前野先生は同コラムの中で、

論理的根拠もなく確実性の低いことを信じるのもなんだか痛々しいので、正してあげたい気もする

とも指摘されていますが、これは宗教者の責任であると強く感じました。
現在の科学的な知見という視点という1つの見方に限定すれば、宗教というものが「論理的根拠もなく確実性の低いこと」と見えてしまう事があるのでしょう。
しかし、そうであるならば、宗教者は現在の科学的な知見とは違う、あらたな宗教の視点を提示することで、信用を回復する必要と責任があると強く感じました。

  1. この場合の心というのは、心的生活のうち、内観によって知られうる現象的側面すなわちクオリアのようなものを指していると考えられる。 []
カテゴリー: 勉強, 読書

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*