お布施のこころ(その3)

そのお電話が終わりしばらくたったある日、その夫婦から連絡があり、改めて結婚式をすることになりました。

そこで、天国のお父さんにも空から見ていただきたいということで、建物の中ではなく、きれいなお庭で行うことになりました。しかし、当日はあいにくの雨です。準備をしている有賀さんのそばで、夫婦は暗い顔をしています。

「どうか晴れますように。」
と有賀さんは真剣に祈っていました。
するとどうでしょう。予定の十五分前に雨はピタリとやみ、式は無事お庭で執り行うことができたのです。

雨上がりの結婚式

有賀さんはその夫婦に、
「奇跡がおきましたね!」
そうお声がけしたとき、夫婦からかえってきた言葉に有賀さんは涙しました。

「いえ、私たちにとっての奇跡は有賀さんに出会えたことです」

その後、有賀さんは仕事で不安なとき、つらいとき、この言葉を思い出して、有賀さんは今もその仕事をつづけています。

この夫婦に喜んでもらおうというやさしい気持ちも、お布施のこころ。
そして、有賀さんの人生をずっとささえているこの夫婦の美しい言葉もお布施のこころ。

みんなも、
「あなたに出会えてよかった!」
そうたくさん言ってもらえる、お布施のこころをもった立派な人になってね。

花嫁

(おしまい)

イラスト:藤富千尋

カテゴリー: 子供と一緒に, 月刊誌「ひかり」, 法話

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