健康診断の数値に「迷子」になっているあなたへ:測れない命の声を聴く
序:体重計の数字に泣き笑いした、私の「29kg」の記憶
月曜日の朝、健康診断の結果を手に、震える手で封筒を開ける……そんな経験はありませんか? 基準値より少し高いだけで、まるで自分の人生すべてを否定されたような暗い気持ちになる。逆に「異常なし」なら、羽が生えたように軽やかになる。
実は、私自身がまさにその「数値の奴隷」でした。
かつて私は、29kgという大幅な減量に挑戦しました。当時は、毎朝体重計に乗るのが怖くて仕方がありませんでした。昨日より100g増えただけで絶望し、減れば舞い上がる。自分の身体が今どう感じているかよりも、液晶に表示される「数値」という答え合わせに、私の幸福は完全に支配されていたのです。
現在は、お寺のシステム構築というITの世界で、毎日バグや数字と格闘しています。システムの世界では、数字こそが正義であり、すべてです。しかし、ふと本堂の庭に目をやると、冬の寒さに耐えながらも静かに春の準備をする木々が見えます。四季は、デジタルのように0か1かでは割り切れません。
私たちの身体も、システムではありません。「数値化できるものだけが真実ではない」——最新の科学研究が、そんな謙虚な真理を教えてくれています。
説:期待された「門番」の沈黙
今回、ポーランドで行われた大規模な研究から、興味深い事実が浮かび上がりました。
例えるなら、血液成分の「PTX-3」は、肝臓で炎症という「火事」が起きたときに真っ先に鐘を鳴らして知らせる**「お寺の門番」**のような役割を期待されていました。

ところが、高齢の方々を対象に調べてみると、この「門番」が沈黙してしまったのです。つまり、たった一つの「万能な物差し」は存在しないということが、科学の力で証明されたのです。
理:身体という名の「庭」を眺める
仏教には、**「縁起(えんぎ)」**という教えがあります。 すべての物事(現象)は、無数の条件(縁)が重なり合って起きており、一つとしてそれだけで独立しているものはない、という考え方です。
私の29kg減量のときもそうでした。ある時期までは順調に落ちていた数値が、突然ピタリと止まる。身体が新しいフェーズ(段階)に入り、昨日までの正解が、今日の正解ではなくなったのです。
行:明日からできる、もう一つのセンサーの磨き方

1. 毎朝3分の「ボディスキャン」
朝、目が覚めたら、布団の中で足の先から頭のてっぺんまで、スポットライトを当てるように意識を動かして「観察」してみましょう。
2. 「中道」のバランス探し
今の自分に「ちょうどよい」ところを探す。それは妥協ではなく、新しい自分に合わせた「再設計」なのです。
結:数値の外側に、あなたの「いのち」がある
数値は大切な「便り」ですが、それがあなたのすべてではありません。たまには体重計や検査結果から目を離し、静かに目を閉じて、その声を聴いてみませんか。
合掌
【今回の智慧】
- 縁起(えんぎ): すべての物事は、原因や条件(縁)が複雑に絡み合って生まれるということ。
- 諸行無常(しょぎょうむじょう): すべてのものは絶えず変化し、一瞬たらとも同じ状態ではないということ。
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