お釈迦さまと農家との対話(1)

お釈迦さまが、インドのマガダ国という農業が盛んな国にいたときのお話です。お釈迦さまが手に鉢を持ち、家々をめぐり、食べ物をいただく托鉢という修行をしていました。

畑を耕す人

しかし、その時期はちょうど農家は、田を耕し、そして種をまく忙しい時期でした。そんな猫の手も借りたい大変な時に、穏やかな顔で托鉢をしているお釈迦様の姿を農家の一人が見て、近くによっていき声を荒げていいました。

「お坊さん、私達はこうして田を耕し、種をまいて食を得ているのだ。あなたもまた、自ら種をまいて、食を得たらどうだ」

怒る農家の人

そんな質問をされてしまいました。私達農家は額に汗してはたらいているのに、働かないで食事を得ようとして
いるお釈迦さまを問い詰めているのです。
そんな問いかけにお釈迦さまはさらりと答えていいました。

「その通りである。わたしもまた耕し、種をまき、そして収穫して食を得ています」

農家は自分の耳をうたがうような顔をしてさらに質問しました。

「だがお坊さん、私はあなたが田を耕したり種をまいたりする姿を見たことはないぞ。いったいあなたの鋤(田をたがやす道具)はどこにあるんだ。あなたの牛はどこにいるんだ。またあなたはいったいどんな種をまいているんだ。

つづく

カテゴリー: 子供と一緒に, 月刊誌「ひかり」, 法話

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