見まもるほとけさま1

あるところに、お父さんと
小学生の息子「ヒロくん」の親子がいました。
親子はお寺に時々おまいりし、
手を合わせ「なむあみだぶつ」とお称えしたり、
仏教の歌を歌ったりするのが大好きです。

そのお父さん、悲しいことに、
いままでしていたお仕事をクビになってしまいました。
新しいお仕事を探しましたが、なかなか見つかりません。
そうこうしていると、お金がついにそこをついてしまいました。
お金がなくなってくると、どうなるでしょう?
そう、食べ物が買えなくなります。
ヒロくんが「お父さんお腹がすいたよー」
と腹をおさえながらいっています。
そうはいってもお金がないから食べ物が買えません。
そんな生活がなんと三日もつづいてしまいました。

その三日目の夕方頃、
「お父さん、お腹がすいて死にそうだよー、うえーん」
今まで「ぼくは男の子だから」と
泣くのをがまんしていたヒロくんがついに泣いてしまいました。
おなかがすいたよー

そのヒロくんの様子をみたお父さんは、こんなことを考えはじめました。
「自分のお腹がすいて苦しいのはがまんできる。
でも息子がお腹をすかせて泣いている姿を見るのはつらくてたまらない。
しょうがない、今夜、息子の大好きなスイカをぬすみにいこう!」
そんなことを心の中で考えてしまいました。
そして、お父さんは「ヒロ、今日は畑へいってスイカをもらってこよう」
そうお父さんがいいましたが、勘のいいヒロくんです。
「あっ悪いことするんだ」とすぐにわかりました。
ふだんはぬすみをしようなんて考えないマジメなお父さんです。
ヒロくんはびっくりしましたが、お腹がすいていますし、大好きなスイカが食べられます。
「うん」と静かにうなずきました。

スイカを盗みに……

そして、夜になってその親子は、
人にみつからないように、
そーっとスイカ畑にいきました。

(つづく)

カテゴリー: 子供と一緒に, 月刊誌「ひかり」, 法話

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